私は自分のことをおじさんだと思って生きている

心を守る手段として、自分をおじさんだと思って生きてきたアラサー女です。要領の悪いばかでへたくそ過ぎる日々を送っています。投げ出し・逃げ癖がついた、何も成し遂げてこなかった人生です。皆さんを色々な感情の渦へとお連れします。

遺影を撮った話【いつか笑って見られる日まで】

こんにちは。

心を守る手段として、自分をおじさんだと思って生きてきたアラサー女です。

 

なんか、タイトルからするに暗い話のような気がしますが・・・

大丈夫です。

今回はそこまで、暗い世界へと皆さんをお連れしません!(たぶん)

遺影といっても、そんな大げさなものではありません。

自分の姿を残そうと思っただけです。

その時のことを綴ろうと思います。

 

 

 

写真がない

テレビをみていた。

芸能人の幼いころの写真が紹介されていた。

 

そこで、俺は気づいたんだ。

小学生後半から10代、20代の今まで、まともな自分の写真がないことに。
ないんだ。
写真を撮る機会もなかった。
避けてきたのもある。


俺は昔から、鏡に映る自分も見られなかった。
必要最低にしか、鏡も見ない人生だったんだ。
自分の顔が好きじゃなかった。
人も寄り付かない、暗い顔だからだ。
写真という自分の姿が残るものなんて、なおさら撮りたくなかった。

 

昔の自分ってどんなだったっけ?

昔の自分の顔もあまり思い出せない。
思い出す手段もないんだ。
少しそのことに焦りを感じるようになった。
歳を重ね、過去が増えてきて過去の重みを感じるようになったからだ。
重みを感じる割には、記憶があまりない。


俺、あの頃どんな顔してどんな表情して過ごしてたんだ?
どうやって、生きてたんだ?
ふっと、思い出せないことに、過去もなかったことになるような気がした。
なんていうか、生きてきた証拠がないんだ。
ますます、自分という存在が遠ざかる。
自分が、人生が、分からなくなる。
酷い面でも一応は記録しておくべきじゃないのか。
生きてきた証拠として。

写真を撮っておかないと・・・

この頃は鬱が酷く、死にたい願望が強い毎日だった。
死ぬ前に過去を偲びたい時もあった。
でも過去を思い出す術がないんだ。
過去の自分の辛気臭い写真をみて、この時もこんなに辛かったんだよな。
十分、現実と戦ってきたよな。
そんな思い出に浸ることもできない。

 

写真ていうのは、その時を切り取ってくれるんだ。
その時にしか、撮れないことに気づいたんだ。
とにかく、撮っておかないと取り戻せないんだ。

 

俺はいつ死んでもおかしくない。
心臓も悪いみたいなんだ。(この頃は不整脈も出ていて不安を抱えていた)
今、死んだら俺の写真、生きた記録は何もないんだよな・・・


自分自身は死んだ後だからそれで構わないかもしれない。
しかし、それで両親の心に深い傷を負わせてしまったらどうする?
こんな俺の虚しい人生の片鱗でも感じさせてしまったら・・・
一生懸命、育ててもらったのに不幸だったんだろうかなんて、思わせたくない。
強く、そう思う。願う。

 

遺影、撮るぞ

両親のためにも撮っておくか。
写真を。
20代の、世間で言う「若くて綺麗な内に」。
それがもしかしたら
遺影になるかもしれない。
親が見ても、おかしくないものがいい。

最後の一枚として相応しいものを撮りたい・・・


よし、奇跡の一枚撮ってやらぁ!

 

そう、俺は意気込んだんだ。

 

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撮影準備

ちらっと鏡をみる。(いつも鏡を見るのは一瞬だ)
そろそろ、前髪を切ろうと思っていたんだ。
写真を撮る前に切ろう。
もちろん、自分でだ。
美容室は怖くて、なかなか行けないんだ。
お金もかかるしな。


ハサミは、いつもの何にでも使ってるただのハサミを使う。
ジョキジョキ、リズミカルに切る。
手慣れたもんだ。
やっぱり上手くは切れず不揃いだが、まあいい。
奇抜な長さではないし、そこまでおかしくはないはずだ。

髪はこんなもんでいいだろう。
なあに、不潔感が漂わなければいいんだ。

 

あとは、化粧でも少しするか?
といっても、テクニックはないし道具もあまりない。
まあ、しないよりマシなのは確かだ。

今時の小学生の方がもっと上手くやれるようなメイクを施した。

 

服はどうするかな・・・
上半身しか写らないから、上着だけきちんとしたものを着ればいいだろう。

ヨレてないシャツを一枚持っている。

よし、着替えた。

 

あとはどこで撮るかだ。
なるべく、自然な感じが望ましい。
汚い部屋で自撮り写真なんて、虚しすぎる。
撮らない方がいいレベルだ。
近くの公園の緑をバックに撮ろう。
天気がいい日に、お日様の下で撮ったら少しは明るい感じにみえるんじゃないか?
2割り増し効果が期待できるんじゃないか。
これだな。

 

公園は人の目が気になる。
だから、すばやく撮影して退散したい。

その為には部屋で予行練習して、公園では1発で決めたい。

 

撮影会スタート

撮影は携帯電話のカメラ機能を使う。
携帯のカメラはセルフタイマーもセットできる。
便利だ。

 

セルフタイマーを5秒にセットする。
い、いくぞ。
撮るぞ。
スタートだ!

 

急いで位置につく。
少しくらい、微笑むか。
はにかみスマイルだ。


パシャッ。

 

と、撮れたか?
携帯をみてみる。

 

撮れてはいる。

 

う、うわぁ。

 

酷い面だ。
久しぶりに自分の顔をよく見て衝撃を受ける。

全然、笑えていない。
何が、はにかみスマイルだ。

目が死んでいる。
俺、いつもこんな顔してるのか。

分かってはいたが、想像以上に悲惨な顔で愕然とする。
布団に丸まってもう、現実逃避したい。
とても、見ていられる面じゃないんだ。

 

もっと、大袈裟なくらい笑ってみたらどうだろうか。
せっかく、化粧までしたんだ。(五分もかかっていない)
諦めるのはまだ早い。

 

次もだめだった。

 

ぴ、ピースでもしてみるか?

いや、遺影なんだからピースはだめだろう。

 

あと少し、次はもっとマシに写るはずだ、と狂ったようにパシャ、パシャ撮る。
フォルダが自分の顔でいっぱいになった。
吐きそうだ。
どれもこれも、人に見せられるような写真じゃない。

こりゃ、公園撮影デビューには程遠いな・・・

 

これが、今の自分

 

とても外に出て、撮ろうとは思えなくなった。


撮った写真を全部、削除する。
最初に撮った一枚は残した。

 

なんとなくこれが、今の自分の顔という気がしたからだ。
目は死んでいて、上手く笑えていない顔だ。
不安、絶望、虚無、恐怖そんな感情を押し殺した、今の自分そのもの顔だ。


これを、記録として今は残しておく。
これが遺影になったら悲惨だ。


だから、これよりマシなものが撮れる日を目指して、生きる理由になるかもしれない。
本当は遺影なんて言って撮ったが、
将来、こんな時もあったなって笑いながら見られる日を期待して撮ったんだ。


遺影だが、希望を少し持っている遺影なんだ。
"生"へと繋げたいと願って撮った遺影だ。

 

この時とった写真は、実はまだ見返せていない。
もう少し、待っててくれ。
穏やかに笑いながらみてやるからな。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

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